「道」の世界遺産・熊野古道とは?どこにあるの?見どころや魅力をご紹介!

2022.03.11

2004年にユネスコ世界遺産に登録された「熊野古道(くまのこどう)」とは、和歌山県にある熊野三山(熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社)を目指して巡礼者たちが歩いた巡礼の道のこと。いわゆる「熊野詣」のコースである霊言あらたかな参詣道は、現代においてもパワースポットとして注目され、全国から多くの人が足を運んでいます。熊野古道にある川や滝、巨岩には神が宿っていると言われ、自然崇拝を起源としていることから「よみがえりの地」とも呼ばれています。

熊野古道の中心となる熊野三山とは?映えスポットもご紹介

「熊野三山」とは「熊野本宮大社」「熊野那智大社」「熊野速玉大社」の3つの神社と、「那智山青岸渡寺」の1寺を指します。もともと、熊野の神々は自然崇拝を起源にしており、それぞれが独立していました。しかし奈良時代から平安時代にかけて「神=仏」であるという神仏習合の考え方が広まり、その影響を受けた三山は、共通する12柱の神(つまり仏)を祀るようになりました。熊野三山は、全国に約4,000社ある熊野神社の御本社です。

それぞれの神社の立地やアクセス方法、歴史を詳しく見ていきましょう。

熊野本宮大社

最初にご紹介するのは、熊野詣の中心地である「熊野本宮大社」。「発心門王子」と呼ばれる社から、約2時間半(7km)のところにあります。

本殿へと続く158段の石段をのぼると、なんとも厳かな桧皮葺きの社殿が見えてきます。

周辺には熊野川、音無川、四村川という3つの川が流れており、桜や紅葉の季節には息を呑むほど美しい風景が広がります。また、朝日や夕陽の時間帯には、昼間とは違う幻想的な姿が見られますよ。

『皇年代略記』や『神社縁起』によると、紀元前33年、3本の川の中州である大斎原(おおゆのはら)に社殿が建てられたのが本宮大社の起源です。平安時代には、皇族や貴族たちが往復1ヶ月をかけて京都から熊野古道を歩き、本宮大社に参拝したと言われています。主祭神は、家津美御子大神(すさのおのみこと)。熊野本宮大社は上・中・下社の三社から成るため、熊野三所権現と呼ばれたり、十二殿に御祭神が祀られていることから、熊野十二社権現とも呼ばれます。

象徴的なのは大斎原にある大鳥居。34メートルの高さの鳥居で、なんと日本一の高さなんです。現在の本殿から500メートルほど離れた場所にあり、徒歩10分ほどで行くことができるのでぜひ訪れてみてください。その大きさに驚くこと間違いなし!春には大鳥居と桜のコラボレーションが楽しめるのでおすすめです。

明治時代には本宮に能舞台なども備わり、今の約8倍の規模でしたが、明治22年には大斎原が大洪水で大きな被害を受け、明治24年に大斎原から上四社が今の場所へ移設されました。現在、大斎原には中四社、下四社、境内摂末社があります。

平成になってからも、紀伊半島大水害により再び大斎原や瑞鳳殿などが甚大な被害を受けましたが、平成26年には瑞鳳殿が再建されるなど復興を遂げています。

参拝時間

8:00~17:00

拝観料

大人 300円 小人 100円

熊野那智大社

御本堂、礼殿、宝物殿からなり、御本堂は​​正面に五殿、左側に一殿が造営されています。また、熊野の神々の使いである3本足の鳥・八咫烏(やたがらす)が熊野那智大社の境内にある御縣彦社(みあがたひこしゃ)に祀られています。境内にある「烏石」は、八咫烏が、石に姿を変えて休んでいる姿だと言われているんですよ。八咫烏は日本サッカー協会のエンブレムにデザインされていることでご存知の方も多いのではないでしょうか。

さらに樹齢850年と言われる大樟(くす)の木が御神木として祀られており、幹が空洞になっていて通り抜ける「胎内くぐり」もできます。護摩木(300円)か絵馬(500円)を持ってくぐると、なんだか神聖な気持ちになってきます。

熊野那智大社のある那智にはたくさんの滝がありますが、その中で最も高い滝が那智御瀧です。「一の瀧」とも呼ばれ、高さ133m・銚子口の幅13m ・瀧壺の深さは10m以上あり、流下する水量は毎秒1トン程度。そのスケールの大きさは圧巻です。熊野那智大社の象徴的な場所であり、那智大社が建造される前から、瀧周辺には神々が祀られていました。

この瀧は現在でも延命長寿のご利益があると信じられており、参入料を払えば瀧のかなり近くまで行き、お水をいただくことができるんですよ。那智御瀧は御瀧そのものが神として祀られており、現在は「熊野那智大社別宮飛瀧神社」となっています。

西暦紀元前662年、神日本磐余彦命の一行が丹敷浦(にしきうら)(現在の那智の浜)に上陸したと言われています。一行が光り輝く山を目指し進んで行ったところ、那智御瀧を見つけ「大己貴神(おおなむちのかみ)の御神体」としてお祀りされました。仁徳天皇5年(317年)、山の中腹へ改めて社殿を設けたのが熊野那智大社の始まりとされています。那智大社とともに熊野三山を成す「那智山青岸渡寺」は那智大社に隣接しているため、一緒にお参りすることをおすすめします。

参拝時間

8:30~16:30

拝観料

無料(宝物殿は大人300円)

熊野速玉大社

熊野三山の中で最も海に近く、熊野川の河口にあるのが「熊野速玉大社」です。熊野川を背にして朱色の社殿が建つこの大社にお祀りされているのは、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)と熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の夫婦神です。神倉神社のゴトビキ岩に降臨した熊野権現を勧進するため、景行天皇の時代に社殿が造営されたそうです。

ゴトビキ岩は最大幅8メートルの大きさで、重さは200キロにもなるんだとか。ちなみに、ゴトビキとは「ガマガエル」を指す方言。ガマガエルに形が似ていることから名付けられたと言われています。ゴトビキ岩までは自然石で組み上げられた538段の階段があり、その神聖さが伺えます。

さらに、境内には天然記念物に指定されている樹齢1000年のナギの巨木があります。平重盛のお手植えだと言われている、由緒正しい巨木です。左右対称の葉の形に由来して、夫婦円満のご利益があるんだとか。境内には1200点の神宝が展示されている熊野神宝館もあり、室町時代の蒔絵手箱や檜扇などをご覧いただけます。

参拝時間

日の出~日没(授与所は8:00~17:00)

拝観料

無料(神宝館は500円)

熊野古道はなぜ世界遺産に選ばれたの?

2004年に世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」ーー熊野古道。日本で初めて文化的景観として世界遺産リストに登録されました。世界遺産に登録された理由として、「現在まで変わらずに脈々と受け継がれている聖山の伝統を反映した文化的景観のほか、山や森、川など豊かな自然も多く残っている。(ユネスコ世界遺産HP)」ことが挙げられています。

実は、「道」として世界遺産に登録されているのは世界でたった2箇所。熊野古道はフランス・スペインにあるサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路に次いで2ヵ所目の、道の世界遺産なんです。

(和のお守り:熊野本宮大社HPより引用)

熊野本宮大社では、サンティアゴ・デ・コンポステーラとコラボしたお守りを手に入れることができますよ。デザインはなんと『ジョジョの奇妙な冒険』を描かれた漫画家の荒木飛呂彦先生。荒木先生は、何度も熊野古道や本宮大社を訪れているご縁でデザインすることになったんだとか。世界中の人々が「和合」するようにとの願いが込められたこのお守りは、今の世界に必要な心を思い出させてくれます。

どの道がおすすめ?熊野三山を繋ぐ5つのルート

ご紹介した熊野三山を巡る熊野古道は、大きく分けて5つのルートに分類されます。それぞれの特徴をご紹介しましょう。

ご自身の体力や見たい景色から、訪れるルートを選んでみてください。

中辺路

「中辺路(なかへち)」は、熊野古道5つのルートの中でも、最も多くの人が歩いてきた道の一つです。田辺から熊野本宮大社をまわり、新宮、那智に至る全長105kmの道です。平安時代から鎌倉時代にかけて行われた「熊野御幸」では、中辺路が公式参詣道となっていました。

伊勢路

「伊勢路(いせじ)」は伊勢神宮から、熊野三山それぞれの大社へと向かうルートを指します。いくつもの峠道をこえるこの道では、峠から熊野灘を一望したり、日本一ともいわれる棚田を望んだりとさまざまな景観を楽しむことができます。

小辺路

高野山と熊野本宮大社をつなぐ、約70kmの参詣道が「小辺路(こへち)」と呼ばれます。高野山の奥から山脈を縦断するため最短距離ではありますが、伯母子山など標高1,000m以上の峠を三度も越えるため最も難易度の高いルートとなっています。

紀伊路

京都の城南宮から、大阪府堺市や紀伊田辺を経由して熊野三山へと繋がるルートが「紀伊路(きいじ)」。沿線の各所には由緒ある寺や趣ある建物が並んでおり、民家「旧中筋家住宅」などが有名です。

大辺路

紀伊田辺の鬪雞神社から、海沿いに南下する那智勝浦町経由の約120kmのルートが「大辺路(おおへち)」。ふと顔をあげると、林立する木の間から海を一望できたりと、海沿いならではの景観を楽しむことができる道です。

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