結婚を間近に控えたカップル　熊野古道を歩き、互いへの理解を深める【熊野古道で人生を考える旅／モニターツアー】

SEN.RETREATは、熊野古道を2泊3日かけて歩き、内省するツアー「人生を考える旅」を本格始動させるにあたり、2023年12月にモニターツアーを開催しました。
キャリア・結婚・セカンドライフ・別れなど、人生の節目に直面している方を募集し、熊野古道を歩くことで内面にどのような変化が起こるのかヒアリングを通して分析し、実際のツアー開発につなげる試みとしました。この記事では、モニターツアーに参加された方が熊野古道を巡礼した際に、どのように心境が変化したのか、お話を伺いました。

《参加者紹介》
飯田さん(26・写真左)　辻さん(26・写真右)　
熊野古道を歩いた数週間後に結婚を控えているカップル。千葉県在住。

――現在直面している「人生の節目」は何ですか？併せて、本ツアーに参加しようと思った理由も教えてください

飯田：結婚を1ヶ月以内に控えており、今後の生活スタイルやライフイベントの選択などについて、まだ2人の考えが定まっていない状況にあります。お互い実家が遠方なのですが、将来の子育てを見据えて親にサポートしてもらえる場所に引っ越す方が良いのかなと、漠然と考えているところです。
熊野古道を歩くことで、そのあたりの考えを深められたらと考えています。

辻：今後の結婚生活についてはもちろんですが、僕は仕事面でも節目に直面しています。
SEOのコンサル企業で働いているのですが、将来的にフリーランスとして独立するか、もしくは他の企業に転職するか迷っています。現職ではマネージャーのポジションを務めているのですが、部下のマネジメントにも難しさを感じており、熊野古道ではそうしたキャリアに関する悩みや考えを整理する時間にも当てたいところですね。

ネガティブに考えがちな癖もあるので、日常から脱却してリフレッシュできたらなと思います。「山に1週間こもって瞑想したら、人生が大きく変わった」という人が知り合いにいたので、自分がどう変われるかを楽しみに思って、熊野古道に来ました。

――2泊3日の旅を振り返っていただけますか

辻：熊野古道に来るまでは、頭の中で悩みがグルグルとまわっている状況でしたが、歩いているうちに自然とあまり気にならなくなってきました。元は自分の気持ちをコントロールしようとしているところがありましたが、圧倒的な大自然を前に、何か解放されたような感覚を得られました。
1日目はまず身体と心のリフレッシュを、2日目からは次の段階へステップアップしたように感じましたね。

飯田：面識のない相手とも、つながりを持てたことが新鮮でした。地元の飲食店の方と色々とお話したのですが、とても親しみやすく、東京にはない距離の近さが嬉しかったです。

――歩く中で印象的だったことは？

辻：「足るを知る」ということが、この旅を通して感じられたことですね。今あるものに目を向けるだけで、自分が満たされていることがわかって、悩みも軽くなりました。「もうちょっと適当に生きてもいいかもな」とも思えるようになったかな。

飯田：急な山道を登るときに、「しんどい・きつい」という感情が沸き起こってくることもありましたが、「自分の選択だから受け入れなければいけない」と思えて、頑張れたことが印象に残っています。仕事や日常生活でも似たような場面はあるから、そうしたときに思い出したいですね。
あとは、自己肯定感が高まったし、自分自身の存在価値を感じられました。大自然に包まれると自分のちっぽけさを感じるという話も聞きますが、私の場合は「自分はちっぽけなんかじゃない」と思えるようになりました。

――歩き終えての感想はいかがですか

辻：歩くだけで、こんなに心が充実するんだと驚きました。日常生活での贅沢で得られる満足感と違って、精神的な充足を感じられるのは熊野古道ならでは、ですよね。

僕は物事をネガティブに考えてしまう癖があるのですが、熊野古道を歩いたことでポジティブ思考に変われました。こういう思考をすれば楽に生きられると気づけたので、今後も忘れずにいたいです。頭の中にずっとあった仕事に関する悩みも、気にならなくなりました。

飯田：自然の中に身を置くことで、身体が喜んでいると感じました。自然に受け入れられている感覚というか、「生きていていいんだよ」と語りかけられて、全肯定されている感覚がありましたね。

辻：熊野古道を歩くことで、婚約者である彼女自身のことも、深く知れました。普段と違う環境に身を置くからこそ、今までになかったような対話ができたんだと思います。
改めて、2人で同じことをやっても感じることや考えることは違うんだなとも感じましたし、今回僕から誘って、熊野古道を一緒に歩いてくれたことが嬉しかった。

飯田：日常生活をともにしていても違う感情が生まれることがわかって、良い意味で他人なんだなと気づけました。夫婦でも意見が違うのは当たり前ですし、違いを認められたことで、彼を受け入れる気持ちが寛大になれそうだなと思います。

★このモニターツアーを通じて開発した、内省を手助けするジャーナリングシート（出会い編）をダウンロードできます。熊野古道を歩く際に、ぜひプリントアウトして持ち歩き、活用してみてください。