温泉宿からゲストハウスまで!熊野古道・中辺路(なかへち)沿いのおすすめ宿8選
世界遺産に世界でたった2箇所だけ「道」として選ばれた「熊野古道」。今回は、この中でも中辺路(なかへち)と呼ばれる道沿いにあるおすすめ宿をご紹介します。
熊野古道を歩くのにはぴったりのゲストハウスや、歩いて疲れた体を癒せる温泉宿などなど、幅広くご紹介しています。
中辺路ってなんて読むの?どこにあるの?
世界遺産に登録されている「熊野古道」。和歌山県にある熊野三山(熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社)を目指して巡礼者たちが歩いた巡礼の道をこう呼びます。「中辺路」は「なかへち」と読み、熊野古道の一部を指します。
熊野古道は大きく分けて中辺路、伊勢路、小辺路、紀伊路、大辺路の5つのルートに分かれます。その中でも中辺路は、最も多くの人が歩いてきた道の一つなんですよ。JR紀伊田辺駅のある田辺周辺から熊野本宮大社をまわり、熊野那智大社、熊野速玉大社に至る全長105kmの道です。平安時代から鎌倉時代にかけて行われた「熊野御幸」では、中辺路が公式参詣道となっていました。現在でも、多くの方がこの道を歩いています。
熊野古道を歩いて楽しむには、1泊2日以上の滞在がおすすめ。そこで、今回は中辺路を大きく2つに分けておすすめの宿をご紹介していきましょう。
田辺〜滝尻〜近露〜熊野本宮大社沿いのおすすめ宿4選
まずはJR紀伊田辺駅から熊野本宮大社に至る約35kmの道沿いにあるおすすめ宿をご紹介します。2022年にオープンしたばかりの新しい宿もあるので要チェックです!
【高原】SEN.RETREAT TAKAHARA
最初にご紹介するのは、中辺路最初の観光名所である「滝尻王子(たきじりおうじ)」から徒歩で2時間半、「熊野本宮大社」からバスと徒歩で1時間半のところにある「SEN.RETREAT TAKAHARA(センリトリート高原)」。熊野古道を旅するのにぴったりの立地です。
このお宿は人口70人の集落・高原に作られた古民家リノベーション宿です。無人宿なので、他の人の目を気にすることなく過ごすことができますよ。
宿に用意された和歌山県産のお肉や野菜、お酒にジュース、お菓子は全て宿泊料に含まれているので、値段を気にせず楽しんでください。食べきれなければ持ち帰りOK!
木の温もり溢れる広いリビングで団欒したり、夜には焚き火をしながら語り合ったり。早朝に熊野古道を歩くと、運が良ければ雲海を見ることができるかも。標高300m地点にあるので、見晴らしが良い高原からは広大な棚田が見下ろせます。そして夜には満天の星が広がります。都会では見ることのできない星たちを見ることができますよ。
住所
〒646-1416和歌山県田辺市中辺路町高原1966
アクセス
「上冨田」ICから車で40分、JR「紀伊田辺」駅から車で45分
公式サイト
https://sen-retreat.com/stay/takahara/
【野中】Guest House MUI
滝尻王子から徒歩約7時間、近露王子から徒歩約70分、継桜王子から徒歩約13分、熊野本宮大社まで徒歩約7時間のところにある「Guest House MUI」は、熊野古道らしく「無為自然」が名前の由来。東京から移住されたご夫婦が営む、2部屋限定の小さなお宿です。
和洋折衷のおばんさいに、朝食には毎朝焼きたての自家製酵母カンパーニュ。熊野古道を歩く活力が湧いてくるお料理たちです。自家製酵母パンは、毎週土曜日に店頭販売もされていますよ。
2頭のヤギさんがお出迎えしてくれる、ゆったりとした時間の流れるゲストハウスです。
住所
〒646-1401 和歌山県田辺市中辺路町野中284-5
アクセス
紀伊田辺駅からバス約75分「野中一本杉」バス停より徒歩30分
公式サイト
https://www.guesthousemui.com/
【近露】SEN.RETREAT CHIKATSUYU
次にご紹介するのは、最初にご紹介した「SEN.RETREAT TAKAHARA」と同じ系列の「SEN.RETREAT CHIKATSUYU」。こちらは7棟のコンテナヴィラになっています。石窯でピザ作りや溶岩プレートBBQができるんですよ。
ワンちゃんを連れての滞在も可能。家族全員で熊野古道を楽しみたいなら、ここがベストな宿泊先でしょう。また、乾燥機付きドラム型洗濯機があるので、荷物が最小限に抑えられるのも嬉しいポイントです。
「SEN.RETREAT TAKAHARA」と同じように宿に用意された和歌山県産のお肉や野菜、お酒にジュース、お菓子は全て宿泊料に含まれるオールインクルーシブ宿。値段を気にせず存分に和歌山の食材を堪能できます。すぐ近くに「Aコープ熊野古道ちかつゆ」というスーパーがあるので、利便性も高いですよ。
「SEN.RETREAT TAKAHARA」から徒歩4時間、「熊野本宮大社」まで徒歩9時間の場所にあるので、2泊3日で熊野古道を歩く方にはTAKAHARA(高原)とCHIKATSUYU(近露)の連泊がおすすめ。
住所
〒646-1402 和歌山県田辺市中辺路町近露1806
アクセス
「上冨田」ICから車で40分、JR「紀伊田辺」駅から車で45分、バスで約1時間
公式サイト
https://sen-retreat.com/stay/chikatsuyu/
【湯の峰温泉】旅館あづまや
熊野本宮大社周辺には、多くの温泉街があります。「湯の峰温泉」「川湯温泉」「渡瀬温泉」からなる熊野本宮温泉郷の中でも、開湯1800年となる日本で一番古い温泉として「湯の峰温泉」はよく知られています。
そんな湯の峰温泉で、極上のやすらぎを体験したいなら、「旅館あづまや」がおすすめ。江戸時代からの歴史を持つ老舗です。自家泉源から汲み上げられた温泉には湯の花が浮かび、槙で建てられた吹き抜けの浴場には木の良い香りも漂います。なんと加水することなく適温まで冷まされたお湯をいただけるんです。
露天風呂から楽しめる日本庭園や、熊野の旬の食材をふんだんに使った料理、これぞ日本の宿!という畳のお部屋。全てに歴史と伝統が感じられます。熊野古道を歩き、疲れた身体をゆっくりと癒せますよ。
また、ここまで来たなら欠かせないのが「つぼ湯」。熊野詣の湯垢離場として世界遺産に登録された「入浴できる世界遺産」です。2〜3人でいっぱいになってしまうほど小さな公衆浴場で、30分交代制なので数時間待ちということもしばしば。番号札をもらって、順番を待ちましょう。
住所
〒647-1732 和歌山県田辺市本宮町湯の峰122
アクセス
紀伊田辺駅からバス約100分
または新宮駅からバス約70分
公式サイト
熊野本宮大社〜小口〜熊野那智大社〜熊野速玉大社周辺のおすすめ宿4選
熊野本宮大社をお参りしたら、次に目指すのは熊野那智大社や熊野速玉大社。この3つを訪れたら「熊野三山」制覇です。
【小口】農家民宿ゲストハウスクマァノ
熊野本宮大社から熊野那智大社の間には、「大雲取越」「小雲取越」と呼ばれる峠があります。この2つの峠の間にあるのが「小口(こぐち)」地区です。
「農家民宿ゲストハウスクマァノ」は小口周辺にある1日1組限定のゲストハウス。「マァ」はインドの言葉で母という意味。熊野古道が「母なる大地」であることと掛けてこの名前にしたんだとか。
宿の周辺は山に川、そして棚田。薪作り・風呂焚き体験や農園の作業体験もできるので、貴重な経験になること間違いなし。熊野古道を歩く方や、田舎暮らしを体験したい方が利用されています。
大雲取越登山口まで徒歩約35分、小雲取越登山口まで徒歩約45分という熊野ウォークにはもってこいの立地です。
住所
〒647-1203 和歌山県新宮市熊野川町大山1561
アクセス
JR「新宮駅」からバスで「神丸」バス停まで約40分、小口行きバスに乗り換え約15分。小口バス停下車、徒歩約30分。(送迎もあります)
公式サイト
https://www.kumano-travel.com/ja/accommodations/kumaano-guesthouse
【小口】民宿 百福
次も、同じく小口にある宿をご紹介します。小辺路沿いにある「小雲取越」から約1km、「大雲取越」から約100mの場所にあるのが「民宿百福」です。中辺路を熊野本宮大社から熊野那智大社方面へ歩くにはぴったりのお宿。
一泊二食 8000円、素泊り 5000円というリーズナブルな価格で泊まれるのが魅力。春には山菜、夏には鮎やモズクガニ、秋にはキノコなど、食事は熊野の旬の食材を使い丁寧に作られたメニューです。また、熊野古道を歩く人のために500円でおにぎり弁当を作ってもらえますよ。
オーナーご夫婦の温かいおもてなしが好評で、世界中から宿泊客が訪れます。
住所
〒647-1206 和歌山県新宮市熊野川町西224-3
アクセス
JR「新宮駅」からバス約35分、「神丸」バス停で乗り換えてバス約15分、「小口」バス停より徒歩1分
公式サイト
https://momofukushop.wixsite.com/momofuku/
【新宮】神倉書斎
熊野速玉大社から徒歩約17分のところ、権現山(神倉山)の南端にある神倉神社のゴトビキ岩は、熊野の神々が最初に舞い降りた場所だと言い伝えられています。その後、舞い降りた神々は熊野速玉大社に迎えられ祀られたので、神倉神社は「元宮」、熊野速玉大社は「新宮(にいみや)」と呼ばれるようになりました。
熊野信仰の原点ともいえる場所である神倉神社のすぐそばにある1日1組限定(3名まで)、1棟貸切の小さな宿が「神倉書斎」です。古民家をリノベーションした際、この家に刻まれてきた歴史(ストーリー)を空間にちりばめ、滞在者が感じとることができるように作られました。いわば、「泊まれる小説」のような、ユニークなお宿なんです。
料理や近隣の飲食店さんを訪れて地域の方と交流したり、地域の人に親しまれる味を堪能したり。また、お風呂はなくシャワーのみの設備なので、温泉を楽しみたい人は少し足を伸ばして勝浦温泉の日帰り入浴をお楽しみください。
会員になると、自分の「書斎」のように使えるのもこの宿の魅力。リモートワークの拠点としてもご活用いただけます。また、2軒隣には2014年にオープンした泊まれる図書館「Youth Library えんがわ」も。ぜひこちらも覗いてみてください。
住所
和歌山県新宮市千穂1−3−1
アクセス
JR新宮駅より徒歩約15分
すさみ南ICより車で約90分
公式サイト
https://www.kamikura-hideaway.art/
【那智勝浦】Why Kumano
JR紀伊勝浦駅の目の前にある「Why Kumano」は、個室・ドミトリーを備えたホステルです。駅から徒歩15秒というアクセスの良さと、手ごろな宿泊価格が魅力。
4名まで宿泊することができる個室と、寝具にこだわりゆったりとしたスペースを確保したドミトリーエリア(12名分)があります。
入り口すぐにあるカフェ&バーは、宿泊者だけでなく一般客で賑わいます。熊野や和歌山の名産品やお酒が揃っているので、お酒を片手に初めて出会った方々と語らうのもよし。電源やWi-Fi完備なのでコワーキングスペースとして利用するもよし。
カフェバーの飲み放題がついた宿泊プランや、朝どれの刺身を味わえる朝食付きプランなどもあるので是非チェックしてみてください。那智勝浦は、マグロで有名な場所。付近には、マグロの無人販売所など、マグロの名産地ならではのユニークなスポットもあるので足を運んでみてください。
オーナーのお二人は、世界中、日本中を旅して地元・和歌山にUターン。世界中、いろんな場所を見て、いろんな人と交流してきたからこそ、故郷である熊野の良さを世界中に広めたいと決意されたそうです。コロナ禍には、世界初の泊まらない宿泊「#オンライン宿泊」という企画をスタートされるなど、コロナ禍以降の新しい世界、新しい社会のあり方を見据えた新しい宿泊の概念作りに取り組んでおられるんですよ。
「Why Kumano」にはシャワールームが完備されていますが、近くには勝浦温泉があるので、日帰り温泉を楽しむのも◎。
住所
〒649-5335 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地5丁目1−3 2F
アクセス
JR紀伊勝浦駅すぐ