

冬の熊野古道ドライブ|清流横でテントサウナと星空、熊野三山をめぐる2泊3日の旅
冬の熊野古道は観光客が比較的少なく、澄んだ空気の中で星空や山並みを存分に味わえる季節です。
今回は、熊野古道のメインルート・中辺路を車で走りながら、旅の起点・滝尻にある一棟貸しの宿「SEN.RETREAT TAKIJIRI」と、熊野本宮大社のほど近くにあるトレーラーハウス「SEN.RETREAT HONGU」に泊まる、2泊3日のモデルプランをご紹介します。
1日目は宿の目の前を流れる清流のほとりで、テントサウナと星空を満喫し、2日目は熊野本宮大社を参拝するという行程です。ドライブの爽快感と、冬の熊野の澄んだ空気を一度に楽しめること間違いありません。
1日目|国道311号を走り、熊野古道の玄関口・滝尻へ
大阪方面から訪れる場合は、紀勢自動車道の上富田ICを降りて、国道311号を東へ。
大阪から車で約2時間、朝8時頃に出発すれば、10時過ぎには滝尻に着くでしょう。
なお、TAKIJIRIの周辺にコンビニはありません。昼食や飲み物、防寒用の小物など、必要なものは高速を降りる前後で買い揃えておくと安心です。冬の山間部は路面が凍結することもあるため、スタッドレスタイヤやチェーンの準備もお忘れなく。

SEN.RETREAT TAKIJIRIに到着。川辺にテントサウナを設営
SEN.RETREAT TAKIJIRIは、熊野古道・中辺路の起点である滝尻王子近くにある一棟貸し宿です。目の前には清流が流れ、山と川を独り占めできます。
テントサウナの設置は、チェックイン当日の午前10時から可能です(チェックインは15時)。
予約時のオプションから「テントサウナ持ち込み」を選べば、追加料金はかかりません。到着したらまず、川辺の広いスペースにテントを設営し、薪に火を入れましょう。
テントの中が温まるのを待つ間は、川のせせらぎに耳を澄ませる時間。吐く息が白くなる冬の河原で、パチパチと薪の爆ぜる音を聞いていると、運転の疲れがほぐれていきます。
※テントサウナの持ち込みルールについては、ご予約時に必ずご確認ください。河原には照明がないため、日没までに片付けを終える必要があります。冬は日没が早いので、サウナは日中に楽しむのがおすすめです。

冬のテントサウナと、川辺の外気浴
テントの中が十分に温まったら、サウナタイムのはじまりです。外から差し込む光はやわらかく、耳に届くのは川の音だけ。汗がにじむにつれて、日常のあれこれが遠くなっていきます。
火照った身体は、川辺の外気浴で冷ましましょう。冬の清流はとても冷たいので、水風呂代わりに入る場合は、足先をそっと浸すくらいから、無理のない範囲で。冬の冷たい空気そのものが、最高の外気浴になってくれます。
サウナを楽しんだ後は、外が明るいうちにテントの片付けを済ませておきましょう。
熊野古道館と滝尻王子を散策
15時にチェックインしたら、日が傾く前に少し散策してみましょう。宿から歩いて行ける滝尻王子は、熊野古道・中辺路の入口にあたる場所で、観光案内所と歴史紹介を兼ねた「熊野古道館」も隣接しています。
ここから先は、巡礼者たちが山中へ分け入っていった古道。冬の澄んだ光に包まれた杉木立を眺めていると、旅の始まりにふさわしい、背筋の伸びるような気持ちになります。
夕食は、森の恵み・ジビエを味わう
宿に戻ったら、夕食の準備です。
TAKIJIRIでは、山々に育まれた鹿肉のすき焼きや、猪肉のしゃぶしゃぶをご提供しています(予約時にお選びください)
食材は和歌山の山と海の恵みを中心に揃えられ、自分たちで調理するスタイルとなっており、皆で作る時間も旅の思い出になります。クラフトビールやみかんジュースなど、和歌山らしいドリンクも一緒にどうぞ。キッチンにはIHコンロや調理器具が揃っているので、手ぶらで訪れても安心です。

夜は星空ドライブ。「高原霧の里休憩所」へ
食後は、いよいよ星空の時間。
周囲に灯りの少ない中辺路は、星がきれいに見えるエリアです。TAKIJIRIからは、車で山道を上がった先にある「高原霧の里休憩所」へ足を延ばしてみましょう。田んぼや水車、奈良方面へ連なる山並みを望む見晴らしのよい無料の休憩所で、視界を遮るものがなく、夜は頭上いっぱいに星が広がります。
冬は空気が乾燥して星の輝きがくっきりと見え、運がよければオリオン座や冬の大三角も探せるはずです。月明かりが少ない夜なら、さらに星の数が増えます。

夜の山道は、鹿などの動物が飛び出してくることもあるため、スピードを控えめに。山間部の夜はかなり冷え込むので、ダウンジャケット、カイロ、手袋、足元を照らす懐中電灯は必須です。双眼鏡があれば、より多くの星が楽しめます。
川のせせらぎを聞きながら、もう一度星空を
宿に戻ったら、もうひとつの星空時間です。宿のすぐ横を流れる川の音を聞きながら、作務衣に着替えて夜空を見上げてみましょう。宿には焚火セットも備わっているので、火を囲みながら、せせらぎと星空を味わうのもおすすめです。
山も川も、まるごと自分たちだけの空間。静かな夜がゆっくりと更けていきます。
2日目|中辺路を東へ。近露を経て、熊野本宮大社へ
2日目の朝は、少し早起きして川辺を散策してみましょう。冬の朝は空気がぴんと張りつめていて、澄んだ水の音が一層際立ちます。朝食を済ませたら、10時のチェックアウトまでに出発の準備を。
国道311号を東へと、近露方面へ向かいます。中辺路の象徴である「牛馬童子像」は、道中の寄り道にぴったり。12月上旬なら「福定の大銀杏」が黄色に色づき、見頃に間に合うかもしれません。

近露の宿場町で昼食
近露はかつて宿場町として栄えた山間の盆地で、清流・日置川が集落を流れています。熊野古道なかへち美術館や近露王子といったスポットが点在し、「道の駅 熊野古道なかへち」には飲食店や土産店も入っています。ここで昼食をとりながら、ひと休みしましょう。
近露から熊野本宮大社までは、車で約40分。両側に山が迫る道を走りながら、熊野三山の1つ・熊野本宮大社へ向かいます。冬は日没が早いので、14時台には到着しておくと、余裕を持ってゆっくり参拝できます。
熊野本宮大社を参拝、大斎原の大鳥居へ
熊野本宮大社は、全国に点在する熊野神社の総本宮として知られ、古くから多くの巡礼者を迎えてきた場所。まずは本殿で参拝しましょう。
本殿から徒歩約10分の場所には、かつて社殿があった旧社地「大斎原」があります。高さ約34mを誇る日本最大級の大鳥居が、冬の澄んだ空にそびえ立つ姿は圧巻です。

SEN.RETREAT HONGUにチェックイン
2泊目の宿「SEN.RETREAT HONGU」は、熊野本宮大社のほど近く、自然の中にそっとたたずむトレーラーハウスです。1棟あたり最大3名まで宿泊でき、シンプルながら快適に過ごすための設備が整っています。冷蔵庫や電子レンジ、食器類などのキッチン用品に加え、全室に洗濯機・乾燥機を完備しています。
夕食には、地元食材を使ったバーベキューをご用意しています。

夜は静かで、聞こえるのは川の音くらい。トレーラーハウスの中で、ゆっくりと身体を休めましょう。熊野本宮大社へ参拝し、川の音に包まれて眠る夜は、巡礼者たちが最後にたどり着く場所にふさわしいひとときです。
3日目|川湯温泉から、熊野三山をめぐる海沿いドライブへ
朝は冬季限定の「仙人風呂」へ
3日目の朝は、本宮エリアの川湯温泉へ。
大塔川の河原には、例年12月から2月だけ、川をせき止めてつくる巨大な野天風呂「仙人風呂」が現れます。午前6時から無料で入浴でき、男女混浴のため水着の着用が推奨されています(裸での入浴は禁止)。無料の駐車場もあり、水着とタオルを持って立ち寄れます。
澄んだ冬の空気の中、川のせせらぎと山並みを眺めながら湯に浸かる時間は、冬の熊野でしか味わえない贅沢です。体を洗いたいときは、旅館街にある「川湯温泉公衆浴場」を利用しましょう。
※仙人風呂は、雨など天候によって入れない日があります。

国道168号を新宮へ。熊野速玉大社に参拝
川湯で温まったら、熊野川沿いを下って新宮方面へ。本宮から熊野速玉大社までは、車で約45分です。大きな川沿いに続く道は、ハンドルを握っていて気持ちのよいドライブコース。車窓からは、世界遺産「川の参詣道」でもある熊野川の流れをゆっくり眺められます。
熊野速玉大社は、熊野三山の1つ。鮮やかな朱色の社殿と、国の天然記念物に指定されているナギの大樹が見どころです。境内近くには無料駐車場(約20台)があります。
神倉神社のゴトビキ岩へ
熊野速玉大社から車で約5分。熊野速玉大社の古宮とされる神倉神社は、山上のゴトビキ岩を御神体とし、熊野の神が最初に降臨したとされる聖地です。石段は全部で538段、自然石を積んだ急な石段が続くので、歩きやすい靴で、日没前に登りましょう。
余裕があれば、那智の滝へ
時間と体力に余裕があれば、さらに足を延ばして那智へ。熊野三山のうち、本宮・速玉に続いて、那智もめぐれます。神倉神社から熊野那智大社までは車で約30分。冬の澄んだ空気の中で見上げる大滝は、1年を通じて訪れる人を魅了します。

帰路は、海沿いの国道42号を北上
帰りは、新宮から海沿いの国道42号を北上し、紀勢自動車道へ。山あいの道から一転、冬の熊野灘を眺めながらのドライブで旅を締めくくります。
冬は日没が早いため、14〜15時台には新宮を出るのが理想です。那智まで足を延ばす場合は無理をせず、時間に余裕をもって行動しましょう。
SEN.RETREATについて
今回のモデルコースでは、TAKIJIRIとHONGUをご紹介しました。SEN.RETREATには他にも宿があり、標高約300mの山間にある一棟貸しの「TAKAHARA」ではフィンランド式薪サウナ、コンテナホテルの「CHIKATSUYU」では屋外こたつで猪鍋など、また違った冬の楽しみ方ができます。

冬の熊野古道は、澄んだ空気と静けさ、そして満天の星空に出会える季節。ぜひこの冬、ドライブがてら訪れてみてください。