地元ゆかりの飲料を宿に届ける酒屋「酒のかまくら」 宿泊体験の裏側を支える物流のパートナー

2026.07.13

熊野古道・中辺路沿いにあるSEN.RETREATは、周辺に飲食物を購入できる店舗が多くありません。そのため、宿で和歌山ならではの味を楽しんでいただこうと、ソフトドリンクやアルコール類をオールインクルーシブでご提供しています。

その豊富なラインナップを届けてくださっているのが「株式会社酒のかまくら」さんです。
商品の選定や入れ替えについて相談に乗っていただき、日々の安定供給によりお客様の宿泊体験を作り上げてくださっています。今回は、地域の宿泊業や飲食業を支える思い、商品へのこだわりなどを伺いました。

地元のクラフトビール、地酒、果物ジュース…豊富なラインナップを提供

酒のかまくらは、紀南地方の宿泊施設や飲食店など約500店舗に飲料を届ける業務用酒販店。
SEN.RETREATとの出会いは、既存のお客様からの紹介がきっかけでした。
当初はSEN.RETREATがある中辺路町に取引先がほとんどなかったにもかかわらず、代表の阪上憲司さん自ら配達をしてくださっていました。

コロナ禍が収束してからは、SEN.RETREAT周辺で民泊やゲストハウスの開業が相次いだことから、周辺でも取引先が増加。SEN.RETREAT HONGUの開業を機に、本宮エリアにも配達範囲が広がったといいます。

SEN.RETREATでは約20種類の飲料をオールインクルーシブで提供しています。(宿泊施設および宿泊人数により、ご提供するドリンクの種類・本数は異なります。)
その中でも阪上さんがおすすめするのが、地元・田辺市でつくられているクラフトビール「ボイジャー」。
「苦味やコク、香りが異なる3種類を宿ごとに置き、泊まり歩いても味の違いを楽しめるように工夫しています」と明かします。熊野古道を歩いた後の疲れを癒やす一杯として、お客様からも人気を集めているお酒です。

日本酒も吟醸酒、純米酒、本醸造とさまざまな種類をそろえています。
「やはり熊野古道に来たからには、熊野三山や熊野古道の雫、那智の滝などの地酒を味わっていただきたいですね」

酒屋でありながらソフトドリンクの取り扱いも豊富で、お酒の苦手な方やお子様向けの「ノンアルコール」のプランもご用意。地元の農協がつくる「生姜生絞りジンジャーエール」のほか、ゆずやみかん、桃のジュースなど、フルーツ王国・和歌山を存分に楽しめるラインナップとなっています。
「今後はビール以外の商品も宿ごとに変化をつけて、泊まり歩くお客様が飽きないようにできたら、とも考えています」

宿泊中に飲みきれなかった飲料は持ち帰れるため、自宅で味わったり、お土産としてプレゼントしたりすることもできます。また、飲料だけでなくしゃぶしゃぶ用の食材として、紀州産完熟ゆず果汁を使ったごまだれと、梅風味のポン酢も届けていただいています。

従業員を大切に、200年企業を目指して

SEN.RETREATでは季節により猪鍋などのジビエを提供していますが、そのお肉を捌いている地元のジビエ加工業者をご紹介いただいたのは、阪上さんでした。「SEN.RETREATの運営会社は大阪で、開業当初は地元でのつながりがあまりないと聞いたので、力添えできたら、という気持ちからでした」と振り返ります。
地元の商工会に所属していたこともあり、地域の活力につながることには積極的に取り組んできたそうです。
(ジビエ加工業者「ひなたの杜」の記事はこちら

仕事で意識していることを尋ねると、阪上さんはこう答えてくれました。
「宿泊施設や飲食店にお酒を納品しても、それだけで利益が発生するわけではありません。
その先でお客さんに注文していただいて、初めてお酒が売れて商売になる。自分が仕事を終えて夜に家でくつろいでいるときにも、取引先の方々がうちのお酒を売ってくれている。それはいつも念頭に置いています」

物価が上昇する中、値上げせざるを得ない飲食店や宿泊施設も増えていますが、それは客離れを招くリスクも伴っています。それでも阪上さんは「人は『美味しいものを食べたい、飲みたい』という気持ちを持っているので、飲食や旅行の需要がなくなることはない」と言い切ります。

昨年2025年で、記念すべき創業100周年を迎えた酒のかまくら。「注文が入っても配達する従業員がいなければ、この仕事は成り立ちません。まずは従業員を大事に、次の100年も頑張りたい」と語りました。

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