SEN.RETREAT TAKAHARA開業への想い

2021.09.28

深刻な宿不足により、ハイシーズンの2年先まで空室なし

1千年以上の奥深い歴史と、豊かな自然を持つ世界遺産・熊野古道。

古道沿いの人口わずか約70人の集落・和歌山県田辺市中辺路町高原に10月、古民家をリノベーションした宿泊施設「SEN.RETREAT TAKAHARA」が開業しました。

熊野古道沿いは1組限定の民宿など小規模なものが多く、コロナ禍前は春や秋のハイシーズンは予約が2年先まで入っている状態で、需要と供給が全く伴わない状況でした。

熊野古道は4~5日間かけて複数の宿を泊まり歩くため、宿を確保できない日があると、巡礼できなくなってしまいます。また、宿を予約できずに民家近くで野宿するなど、地元住民に不安を与える事態も起きていました。

観光客のニーズ理解と、地元との共生

観光客視点で考えた場合、民宿だとお風呂やトイレを他の宿泊客と共同で使うところが多いため、ウォシュレット付きトイレと洗面台のほか、シャワーも独立したものを6つ設置し、他との差別化を図りました。

一方で、「SEN.RETREAT TAKAHARA」の周りはのどかな田舎の地域なので、観光地化をあまり望んでいない方もいます。

当初は2020年5月に開業する予定でしたが、新型コロナにより約1年半延期になりました。
というのも、この地域には高齢者の方が多いので、感染が拡大している状況で開業して何かあっては大変です。
地域に根ざした宿と、そのオーナーとして、地域になじむことを優先的に考え、開業に向けて長い間時機を伺ってきました。

1千年の歴史を持つ熊野古道を次世代に継承したい

「SEN.RETREAT TAKAHARA」が開業することで、雇用を創出し、市街地に働きに行っている人が地元で働けるようになり、移住者の誘致にもつながる。
空き家として放置されていた物件が、観光客が集う場所として生まれ変わる。地域全体が活気づき、地方創生につながると信じています。
過疎化や空き家問題などの社会問題解決を掲げるSEN事業が1つのビジネスモデルとして確立されれば、同様の課題を抱える別の地方でもこの先お役に立てるのではないでしょうか。

ただ、宿を建てることは1つの手段に過ぎません。

熊野古道の周辺を持続可能な地域にするために、今後も枠にとらわれずさまざまな挑戦をしていきたいと、わたしたちは考えています。

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