【予約開始】オール和歌山にこだわった”猪肉しゃぶしゃぶ”プラン

2021.12.21

平素よりSEN.RETREAT TAKAHARAをご愛顧いただき誠にありがとうございます。
12/21(火)より「オール和歌山にこだわった”猪肉しゃぶしゃぶ”プラン」のご予約を開始致します。
※2022年1月1日(土)より本プランでの宿泊可能

本プラン導入の背景には、地元の梅・みかん農家が近年悩まされてきた獣害を解決する一助となりたい思いがあります。地元の獣害対策の活動や尽力されている方々の思いを知っていただける冊子を宿に配置し、ジビエを味わうだけでなく、その背景まで宿泊客の方に理解していただける取り組みも行う予定です。

“猪肉じゃぶじゃぶ”について

お鍋の具材には猪のロースやバラ肉のほか、龍神しいたけ(田辺市龍神村産)や高級食材「白いきくらげ」(田辺市伏菟野産)などをご用意。お出汁は減塩鰹節(和歌山県すさみ町産)をご提供しています。

調味料は、梅果汁を使用した梅ポン酢(和歌山県上富田町産)や、ゆず果汁を使用したごまだれ(和歌山県紀の川市産)を備えており、風味豊かで多彩な“オール和歌山”の味をお楽しみいただけます。

料金は1泊2食付きで18,700円/人(大人4名様の場合)
※宿泊代/オールインクルーシブドリンク/お菓子・おつまみ込み

 

お客様の感想

(Aさん)

まず、お肉が予想外においしくて食べやすかった。ジビエについては、「おいしくないけど殺しちゃったから食べましょう」というネガティブなイメージを持っていたけど、まったく違いました。

梅やかんきつ類のポン酢とお肉の相性が良かったです。

(Bさん)
今日食べた猪肉は脂が少なくあっさりとした味わいで、お箸がどんどん進みました。
「捕獲された動物を食べるのがかわいそう」という声もあるけど、ジビエを食べることは地方の農業を守ることにもつながると実感しました。

(Cさん)

野生だとしっかり運動しているからか、お肉は弾力があって食べ応えがありました。脂や灰汁も浮かないので、ヘルシーなんだと思います。
きくらげもプリプリかつシャキシャキでおいしかったです。

(Dさん)

しいたけは肉厚でジューシーで、しいたけの概念が変わりました。地元の方が命を無駄にしないよう大切に捕獲したジビエを食べさせてもらうことは、なかなかない有意義な機会でした。

 

 

和歌山県田辺市の獣害の現状

SEN.RETREAT TAKAHARAにジビエを届けているのは、地元農家のメンバーが獣害対策を行うために立ち上げた「株式会社日向屋」(田辺市上芳養)です。
田辺市上芳養地区の基幹産業は梅とみかんの栽培ですが、近年は獣害に悩まされてきました。梅は鹿に新芽を食べられ、木の成長が悪くなります。みかんは猪が食べてしまい、100㎏を超える猪が木にのしかかって折れることもあります。
この課題を解決すべく、地元農家のメンバーが罠の狩猟免許を取って狩猟チームを立ち上げました。
最初の1年のみでも猪や鹿が120頭ほど捕獲できたものの、立ち上げ当初は現在のようにジビエ処理施設も解体師もおらず、獲物はバットでたたき殺すしかありませんでした。鹿や猪が痛そうに鳴き、叩いた感触も残る経験に、地元農家のメンバーはだんだん精神的な負担を抱えるようになりました。
激増した個体数を圧倒的に減らし、命を無駄にしない策が他にないか考えた結果、ジビエの解体ができる施設と、解体できる人材が必要との結論に至り、2018年に「ひなたの杜」という解体施設が建てられました。

地元のジビエ処理施設「ひなたの杜」にSEN.RETREAT TAKAHARAの宿泊客の方が見学に訪れ、「日向屋」代表の岡本和宜さんと、解体師の湯川俊之さんが獣害の現状などについてお話しされました。
その際の様子をご紹介します。


「ひなたの杜」に地元住民が建てた鳥獣供養塔

「日向屋」代表の岡本和宜さんと、解体師の湯川俊之さん インタビュー


「日向屋」代表・岡本和宜さん

 

● 農業で一番大変なのが獣害対策

 

岡本さん:私は家業であるみかんの栽培とともに、獣害など農業をする上での課題をビジネスで解決する会社「日向屋」の代表を務めています。

ここ田辺市上芳養地区の基幹産業は梅とみかんの栽培ですが、農業を行う上で一番大変なことは獣害対策。

梅は鹿に新芽を食べられて、梅の木の成長を悪くする。また、みかんは猪が食べてしまうのですが、100㎏以上の猪が木にのしかかると折れてしまいます。
これを何とか解決しないと、自分たちは農業をやっていけない状況でした。

 

● ジビエとしての活用を模索

 

岡本さん:そこで罠の狩猟免許を取って狩猟チームを立ち上げ、山に入って仕掛けるようになりました。

最初の1年だけで猪や鹿が120頭ほど獲れたけど、当時はこのジビエ処理施設もなく、解体師の湯川さんとも知り合っていませんでした。

では、当時は獲物をどうしていたかというと、バットでたたき殺すしかありませんでした。叩くと猪や鹿はとても鳴くし、感触が残る。みんなだんだん精神的にしんどくなっていったんです。

でも、増えた個体数を圧倒的に減らさないと、農業をやっていけない。

せっかく作った狩猟チームをやめないといけないかもしれない。
命を無駄にしない策は何か考えた結果、ジビエの解体ができる施設と、解体できる人材が必要だと考えました。
そんなとき、湯川さんと知り合いました。彼も解体施設をかまえて、販売まで行いたいとちょうど思っていたんです。
ただ、解体施設は死んだ個体が運ばれてくるため、地元住民から反対されると思っていた。
でも、農業にかかわる人も多く、「農業を守るためなら」と、みんな快く受け入れてくれました。
「ひなたの杜」をつくってからは、地域での獣害の件数は8割ほど減りました。
また、罠の狩猟免許を取る人がとても増えました。解体はプロに任せて、できるところは自分たちでやろうという意識が広がりました。


解体師の湯川俊之さん

 

●湯川さんの技術


ーーー湯川さんがさばくジビエは絶品だと伺いました
岡本さん:湯川さんは猟師や農家が罠で鹿猪を捕獲すると、すぐに現場に駆けつけて止め刺しを行います。これが彼の大きな特徴です。彼は日本で3本の指に入る解体師だと私は思っています。それほど、彼の技術は素晴らしい。

湯川さん:ジビエは本来ほとんどの個体がおいしいけど、血抜きなどの正しい知識がないまま処理されたジビエは臭みが出てしまいます。多くの人は心臓を刺しますが、私は首の頸動脈を切り、心臓を動かしたまま血抜きをする。こうすると血の出方が全然違います。
銃で撃つ際も気を付けています。例えば、肩を撃ったら肩ロースが食べられなくなる。頭を打ったらお尻まで弾が抜けて、すべてダメになる。こめかみのあたりをいかに打ち抜くかが重要なんです。

ーーー日々どれほどのジビエを処理されているのですか
湯川さん:2021年は特に多くて、11月は100頭は獲りました。いろんなところから連絡が入るので、1カ月以上休みなしです…。
岡本さん:それだけみんな湯川さんを頼りにしているということです!

●SEN.RETREAT TAKAHARA宿泊客へメッセージ


ーーー和歌山県外、また田辺市外から訪れるSEN.RETREAT TAKAHARAの宿泊客に伝えたいことを最後に教えてください
岡本さん:地域としては獣害対策は大成功を収めました。

ただ、一番大事にしているのは鹿や猪を絶滅させないことです。むやみに捕獲するのではなく、共存共栄を目指しています。
現在はかなり被害が減ったので、人間が暮らし、農業を行う地域に入ってくる獣のみ捕獲しています。
「作物を食べるから邪魔だ」と言っているのは人間だし、そんな状況を作ったのも人間。
高齢化により耕作放棄地が増えていますが、人間が手入れしていない土地に鹿や猪が降りてくるのが当たり前。獣害は裏を返せば人間の責任でもあります。
こうした経緯を踏まえて、僕たちが処理したジビエをおいしくいただいてほしいと思います。
ジビエを通して、人間は命をいただいて生きていることを感じてもらえれば幸いです。

ーーーありがとうございました!
お話を聞いた後、鹿を解体する様子を見学しました。
まず、屋外で獣についた泥を水洗いした後、皮をはぎ、内臓を抜きます。この時、弾が残っていないかも確認します。次に骨を抜き、最後に真空冷凍をします。
見学した際は、骨を抜く様子を見せていただきました。

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