規格外から輝く逸品へ。伊藤農園「ドライみかん」に込められた想い

2025.04.25

和歌山の美味を存分に楽しんでいただけるよう、SEN.RETREAT TAKAHARAでは、全12種類の和歌山銘菓を客室で自由に味わえる“オールインクルーシブ・スイーツ”を提供しています。どれも自信を持っておすすめしている品々ですが、「一番人気はどれだろう?」というスタッフの素朴な疑問から、昨年に引き続き「お菓子総選挙」を開催しました。

そして第2回総選挙で、見事1位に輝いたのが伊藤農園の「ドライみかん」です。素材そのものの風味が感じられ、口に入れた瞬間に甘みと酸味がふわっと広がります。


「厳選されたお菓子が提供されている中で1位を取れたということは、認めていただけたということ。本当に嬉しいです」

そう語るのは、和歌山・有田でみかんづくり一筋、明治中期から代々その技を受け継ぐ伊藤農園4代目の伊藤彰浩さん。有田の地でみかんと共に歩んできた想いと、素材を大切にする姿勢を胸に、人気の秘密とこだわりについてお話を伺いました。

「生のみかんだけでは、生き残れない」加工品への挑戦
伊藤農園の歴史は明治中期に始まり、100年以上にわたってみかんと真摯に向き合ってきました。しかし約35年前、全国的にみかんの生産量が増加し、価格が暴落。厳しい状況の中、「生のみかんだけでは地域も農家も守れない」との判断から、加工品づくりに挑戦しました。
最初に着手したのは、見た目が悪く市場に出せなかった“規格外みかん”を使ったジュースづくり。これにより、これまで捨てられていた果実が新たな価値を持ち始めました。


無駄をなくす想いから生まれた「ドライみかん」
ジュースを搾ると、皮が残ります。伊藤農園ではこの皮さえも無駄にせず、ピール菓子やマーマレードとして活用してきました。そんな取り組みの中で、皮をより美味しく仕上げるために導入したのが「減圧乾燥機」。強い熱や風を使わず、低温でじっくり乾燥させることで、風味や色合いを損なわず仕上げることに成功しました。

この製法を応用し、「規格外のみかんそのものを乾燥させたらどうだろう?」という発想から生まれたのが「ドライみかん」です。
使用するのは、見た目に傷があっても中身は立派な有田みかん。果汁たっぷりで風味豊かな、まさに“もったいない”を美味しさに変えた逸品です。

美味しさの秘密は“素材そのもの”
伊藤農園では「添加物は使わない」という企業ポリシーを徹底し、素材本来の味を最大限に引き出しています。ドライみかんの原材料は、有田みかんとグラニュー糖のみ。防腐剤などの食品添加物は一切使用していないため、お子さまからご年配の方まで安心してお召し上がりいただけます。

また、皮むきにも特別なこだわりが。機械での皮むき技術もある中で、「機械を使うと熱を加えることになる。みかんは温めると煮えたような味になってしまう」との理由から、作業はすべて手作業。一つひとつ、丁寧に皮をむいて仕上げています。


一年を通して楽しめる、みかんの新しいカタチ

ドライみかんは、有田みかんの新たな魅力を引き出す商品として誕生しました。
「規格外品の活用を通じて、有田みかんの魅力をもっと多くの人に届けたい。日本だけでなく、世界へも発信していきたいですね」と語る伊藤さん。

今後の目標は、「ドライみかんなどの加工品が、みかん好きの方にとっての新たな選択肢となり、旬の時期だけでなく一年中楽しんでいただける存在になってほしい」と熱く語ってくださいました。


直営カフェでは珍しい柑橘メニューも
伊藤農園の直営カフェ『Cafe みかんの木』では「みかんオムライス」や「さっぱりレモンのカルボナーラ」など、和歌山産の柑橘をふんだんに使ったメニューが提供されています。
SEN.RETREATへご宿泊の際には、是非みかん畑に囲まれた直営カフェにもお立ち寄りください。

住所  :和歌山県有田市宮原町滝川原518番地
営業時間:11:00 – 17:00(L.O. 16:30)

その他の記事