心意気と職人技から生まれる唯一無二の和歌山銘菓「かげろう」

2024.12.11
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image.jpg

SEN.RETREAT TAKAHARAではオールインクルーシブのスイーツとして、お部屋でさまざまなお菓子を提供しています。全12種類あるお菓子はいずれも自信を持ってお届けする和歌山の美味揃いですが、中でも人気はどれだろうかと「お菓子総選挙」を開催。ダントツ人気で1位となったのが「かげろう」でした。読んで字の如し、はかなく口の中でほどける生地が印象的な銘菓「かげろう」。県民のみならず多くの人に愛されているこのお菓子が一体どう生まれたのか、またどんな風に作られているのかを伺おうと、製造元である白浜町の「株式会社福菱」を訪ねました。

白良浜に立ちのぼる蜃気楼のように

「ふわっととける食感こそがこのお菓子の魅力。何にも例えられないし、かげろうはかげろうでしかない」

そう話すのは総務の山田美希さん。地元白浜で育ってきた生粋のかげろうファンで、その愛情が高じて昨年異業種から転職した強火担。総選挙の結果を伝えると、満面の笑みで喜んでくれました。

山田さんが熱く語るように、かげろうの一番の特徴は食感。表面に薄くサクッとした食感を残しながらも中はふんわり柔らかく、気づけばとけるように消えている。そんな繊細ではかない生地の中には甘さ控えめのクリームがさりげなく主張する。まさに唯一無二の甘く美しい余韻が口の中に広がります。

今や和歌山土産の定番となったこのお菓子が誕生したのは昭和42年(1987)。まだ世の中が新3種の神器(カー、クーラー、カラーテレビ)で賑わう「3C時代」でした。この年に生まれたのが現会長の福田裕希さん。愛息子の誕生を前に「小さなお子様にも食べてもえるお菓子を作りたい」と当時の社長が奮起し、3年かけてできたのが「かげろう」でした。

福菱はもともとまちの和菓子店。初めて手がける洋菓子に試行錯誤する中、南紀白浜を代表する白砂のビーチ白良浜に立ち上る蜃気楼のように「はかなく消えるようなお菓子を作りたい」と考えたのだとか。それまでの和菓子のイメージが強く、かげろうは最初からヒットしたわけではありません。昭和46年に和歌山県で開かれたくろしお国体(第26回国民体育大会)で昭和天皇皇后両陛下、皇太子美智子両殿下に献上したことをきっかけに注目を浴び、その不思議な食感とやさしい味わいが広く知られることとなりました。

銘菓を支える徹底した「お客様ファースト」の心意気

SEN.RETREATで扱うスイーツをセレクトしているのは田辺市でコーヒーや食品の卸売業を営む「株式会社モリカワ」。選定の中心となった取締役の森川真帆さんは「かげろうは安心して手に取っていただけるお菓子。小ぶりの箱に2個入っているのがちょうどよく、ひとくちサイズでサクサクと食べられるのもいい。程よい甘さで旅の疲れを癒してほしいと選ばせていただきました」と話します。

そんな森川さんいわく「福菱さんの人はみんな驚くほどアットホームで熱心」。実際にクリスマスなどの繁忙期には社長までもが助っ人に参戦すると聞いて驚きました。「今日ここに人が足りていないなという場合は部門も役職も関係なく、みんなが自然と手伝いに入ります。それがうちの社風なんです」と山田さん。滞りなく商品が提供できるよう、社内で徹底しているのは「お客様ファースト」の心意気。いくら需要があってもかげろうを量産しないのもそのためで、多い時には1日40,000本を焼きますが、その生地の配合、検品や箱詰めなどの作業は人の手。食感の要である生地は今も変わらず、熟練の職人が気温や湿度で練り方を変えながら作り上げています。「練りの作業は機械ではできず、手作業だからこそ作れる食感がある。そこに手は抜きたくない」。ここにも確かに「お客様ファースト」が息づいています。


本店カフェでは限定の「進化系」スイーツも

2016年に本店をリニューアルしてオープンしたカフェでは、かげろうの進化系スイーツ「生かげろう」もいただけます。かげろうの生地に生クリームや季節の素材を盛り込んだ本店でしか食べられない限定スイーツとあって、遠方からもこれを目当てに訪れる人が絶えません。しかも全12種類のうち、プレーン以外は季節によって入れ替わるため、何度訪れても飽きることがありません。

SEN.RETREATでかげろうの魅力を知っていただいた後は、ぜひカフェにも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

その他の記事