一度は訪れたい!熊野古道にある観光スポットを巡るモデルコース徹底紹介!
世界でたった二箇所、「道」として世界遺産に登録されている熊野古道。和歌山県、三重県、奈良県、大阪府をまたぎ全長は約600kmと長く、さまざまなルートや観光名所があります。観光で訪れたくても、訪問先やルートを選ぶのは大変ですよね。
今回は熊野古道の中でも特に訪れていただきたいスポットを巡る、おすすめのトレッキングモデルコースをご紹介します。
熊野古道トレッキングルートおすすめ3選
熊野古道は「熊野三山」と呼ばれる3つの神社があり、古来からこの熊野三山を目指して多くの人が参詣しました。
この熊野三山を中心に、平坦な道や急な傾斜のある道、海を望める道や歴史的な建造物が残る道など様々な道が広がっています。観光で重視したいポイントごとに、おすすめのルートをお教えします!
熊野古道の歴史を感じる|高野山〜熊野本宮大社
熊野古道には主に5つのルートがありますが、その中の「小辺路(こへち)」は高野山と熊野三山の一つ「熊野本宮大社」を結ぶルートです。
高野山は平安時代のはじめに弘法大師空海によって開かれました。金剛峯寺が有名ですが、高野山は「一山境内地」すなわち、山全体がお寺とされています。今回ご紹介するのは、この高野山をスタート地点とし小辺路を歩き、熊野本宮大社へ向かうルート。
高野山から熊野本宮大社までを3つの区間に分けてご紹介します。日帰り旅行や、体力に自信がないかたは最初にご紹介する「高野山〜水ヶ峰ルート」のみを歩くのがおすすめです。
高野山〜水ヶ峰(大股)ルート
高野山から熊野三山を最短距離で結ぶ「小辺路」ですが、それゆえ1000m級の山々を縦断するため、険しい道のりとなっています。
しかし、高野山から水ヶ峰に至るルートは比較的歩きやすく、アップダウンの少ない道のり。歴史を感じながら歩くにはぴったりのコースです。
より一層歴史を感じたければ、高野山に前泊するのがおすすめ。高野山には50以上の宿坊(僧侶や参拝者の宿泊場所)があり、精進料理をいただけたり、庭園の色彩豊かな自然を堪能できたり。中には温泉に入ることができる宿坊もあります。寺社文化を体験できておすすめです。
翌日は高野山からまずはろくろ峠を目指しましょう。ろくろ峠のすぐ近くには「大滝口女人堂跡」もあるので要チェック。ここまでは緩やかな登り坂です。
そこから約2kmなだらかな道を歩くと、「薄峠(すすきとうげ)」に至ります。ここからは少し下り坂が続きます。1時間半ほど歩くと到着するのが「大滝集落」。民家の前を抜けて、山道に入りましょう。
ここからは再び登り坂。途中で休憩所もあるので、休み休み登っていきましょう。「高野龍神スカイライン」と呼ばれる山岳道路と合流するので、車の往来には要注意です。
「野迫川村総合案内所前」まで到着すればゴール!ここからはバスを利用して帰路につきましょう。高野山まで南海りんかんバスで約35分の道のりです。
所要時間
約4時間半
距離
約11.3km
難易度
★★☆☆☆
水ヶ峰~三浦口~柳本橋
ここから1000m級の峠を2つ(伯母子峠、三浦峠)越え、十津川温泉に向かうルートをご紹介します。所要時間は約17時間半と長く、高野山から歩くには2泊3日の滞在が必要ですが、手付かずの自然を堪能するにはもってこいのルートです。かつての修験者たちの歩いた道を、令和の時代に踏み締めてみませんか。
水ヶ峰から、「大股へ」と書かれた小辺路の道標を頼りに林道へ入りましょう。1時間20分ほど下り坂が続き、「大股バス停」へ到着。そこからは上り坂を登って、伯母子岳の頂上を目指します。
ここからは道幅が狭く、崖崩れの起きやすい道が続くので要注意。弘法大師坐像や水ヶ元茶屋跡、待平屋敷跡を通って、伯母子岳登山口まで抜けます。ここから三浦口までは15分ほど。2日目はこの辺りで宿泊するのがおすすめです。
3日目の最初は、登り坂を登って三浦峠へ。ここから下ると、集落が望める展望ポイントがいくつかあります。矢倉観音堂や川合神社、福田寺跡を通って進むと、「大津越大師堂」に至ります。ここからゴールの柳本橋までは20分ほどです。
柳本橋から徒歩10〜30分ほどで、十津川(とつかわ)温泉(奈良県)に行くことができるので、長距離を歩いた身体を温泉で癒しましょう。
所要時間
約17時間半
距離
約43km
難易度
★★★★★
十津川温泉~熊野本宮大社(果無峠)
十津川温泉から、熊野三山の一つである熊野本宮大社に向かいましょう。標高1000m強の果無峠を越えるルートなのでハードな行程です。
十津川温泉からはしばらく登り坂が続きます。果無集落、観音堂を通って2時間強で果無峠(はてなしとうげ)に到着。途中、眺望の良いポイントがいくつかあるのでぜひ景色も楽しんでみてください。
そこからは下り坂。大正末期に地元の人々がたてた観音石仏が道沿いに並びます。七色辻まで下れば奈良県から和歌山県に入ります。「道の駅奥熊野古道ほんぐう」でちょっと一休みして、三軒茶屋跡まで行けばゴールはすぐそこ!
熊野本宮大社を詣でたら、徒歩10分のところにある大斎原(おおゆのはら)の日本一の大鳥居にも足を運びましょう。
所要時間
約7時間半
距離
約15.2km
難易度
★★★★☆
体力には自信あり!な人におすすめ|小雲取越・大雲取越
トレッキング上級者や、体力に自信のある方々におすすめしたいのが小雲取越・大雲取越を越えるルート。熊野三山の熊野那智大社から熊野本宮大社まで向かうルートです。
小雲取(こぐもとり)越・大雲取(おおぐもとり)越は名前の通り、「雲」を「越える」ような峠。特に大雲取越は800m級の峠をいくつも越えます。
熊野那智大社を詣でたら、那智高原公園をスタート地点に歩き始めましょう。「色川辻」付近は急な下り坂になっているので気をつけて。「石倉峠」「越前峠」を越えるには急な登り坂と下り坂を攻略する必要があります。越後峠に着いたら、いったんここで休憩。
越前峠から1日目の宿泊先である「小口」までは約2時間です。小口には宿泊場所がいくつかありますが、部屋が埋まっていることも多いので早めの予約をおすすめします。
2日目は小口から小雲取越に挑戦。大雲取越に比べて平坦な道のりで、快適なハイキングを楽しめますよ。
「桜峠」までは約1時間、そこから緩やかな下り坂が続き、「百間ぐら」を越えると道も歩きやすい尾根道になりますよ。請川バス停から、熊野本宮大社までは徒歩40分。2日目の行程は時間にもゆとりがあるので、ゆっくり参拝できます。
所要時間
約7時間(大雲取越)+約5時間半(小雲取越)
距離
約14.5km(大雲取越)+約13km(小雲取越)
難易度
★★★★★
絶景を見たいなら!|滝尻王子~近露王子
最後にご紹介するのは、絶景を望めるコース「滝尻王子~近露王子」。ここでは雲海を見ることができるかも。
富田川と石船川が合流する地点に鎮座する滝尻王子社は、かつて熊野三山の霊域のはじまりとされていた場所です。スタートしてすぐに急勾配がありますが、まだ序盤だからきっと大丈夫。その急勾配の間に、胎内くぐり、乳岩、不寝王子、剣ノ山経塚跡と、見所が4つもあります。
ここをすぎると、最初の絶景ポイントとなる展望台があります。休憩がてら、景色を堪能してください。
剣ノ山経塚跡からは平坦な道のりと階段で歩きやすいルート。1時間弱歩けば高原熊野神社に到着です。高原熊野神社の社殿は、中辺路(なかへち)で最も古い神社建築と言われています。藤原定家が立ち寄った記録も残っているんですよ。ぜひその歴史を感じてください。
そしてさらに歩くと「高原霧の里」に到着!ここが雲海スポットです。狙い目は秋から冬。昼夜の寒暖差が大きく、湿度が高く、風が穏やかな早朝(日の出から1時間以内)を狙いましょう。もちろん、日中訪れても素晴らしい絶景を楽しむことができますよ。
「大門王子」と「十丈王子」の間にも絶景ポイントがあるので、見逃さないで。
そこからは「十丈峠」「逢坂峠」「箸折峠」の3つの峠を越えて、牛馬童子を過ぎれば近露
集落に到着。牛と馬にまたがる僧服の石像である牛馬童子は、50cmほどと小さく可愛らしいので見落とさないように注意!
近露の集落を見渡す景色も、日本の原風景を思い出させる素敵な景色です。近露には、2022年4月に新しい宿「SEN.RETREAT CHIKATSUYU」がオープン。中古コンテナで建てられたコンテナヴィラで、プライベートガーデンやルーフトップテラスが整備されています。歩き疲れた身体を、ここで癒すのもいいかも。
所要時間
約6時間半
距離
約13km
難易度
★★★☆☆
【おまけ】初心者におすすめ!3時間で歩けるコース
熊野古道を訪れてみたいけれど、体力には自信がない…
そんなあなたには、熊野古道の美味しいところだけをつまみ食いできる初心者向けのトレッキングコースがおすすめ。トレッキングの時間が限られる、1泊2日の旅行をする方にもぴったりのルートになっています。